婚姻届の書き方を見本付きで解説します。
婚姻届には、証人の印鑑や夫婦の職業欄の記入方法などにルールが決まっていたり、戸籍の本籍や筆頭者の確認などの面倒な手続きが伴ったりします。しかし、サンプル画像を参考にすれば簡単に書くことができます。
婚姻届の提出先
婚姻届の提出先は下記のとおりです。
- 夫の本籍地
- 夫の住所地(所在地)
- 妻の本籍地
- 妻の住所地(所在地)
一般的に、婚姻届は夫婦が住んでいる地域の区役所や市役所に届け出ます。
なお、「所在地」には、一時的な滞在先も含まれます。そのため、旅行先の役所に提出することもできます。
婚姻届を書く前に用意するもの
- 婚姻届の用紙
- 黒の油性ボールペン(※消せるものは使えません)
- 二人の旧姓の印鑑(※シャチハタは使えません)
- 二人の戸籍が確認できるもの(※戸籍謄本など)
婚姻届の用紙は、市役所や区役所の戸籍を扱う部署でもらえます。また、各市町村のHPからダウンロードすることも可能です。
婚姻届の見本と記入例
婚姻届は、必要な項目が揃っていれば十分なので、形式は自由です。ここでご紹介するのはあくまで一例です。
●婚姻届の全体像
※画像をクリックすると拡大します。
●婚姻届の記入例
※画像をクリックすると拡大します。
それぞれの項目を詳しく見ていきましょう。
提出日と宛先
提出日
婚姻届を提出する日付を記入します。これが入籍日(※結婚記念日の日付)となります。人によっては、大安の日を選んだり、風水を参考にして縁起の良い日を選んだりします。
宛先は提出先
婚姻届のあて先は、提出先の市区町村長なので、記入欄に合わせて、提出先の市または区を書きます。
氏名
「夫になる人」・「妻になる人」欄に、それぞれの旧姓の氏名を記入します。
生年月日は、西暦ではなく、「昭和○○年」・「平成○○年」・「令和○○年」のような和暦で記入します。
住所
住民登録をしている現在の住所(※住民票記載の住所)を記入します。夫婦がすでに同居している場合、同じ住所を記入することになります。
「番地」と「番」
住民票の記載にしたがって、番地と番のどちらかに丸を付けます。
世帯主の氏名
住民票記載の世帯主の氏名を記入します。
●世帯主とは?
世帯主とは、一つの住民票の中に記載されている世帯の代表者です。
主に世帯の生計を担っている人で、社会通念上妥当と認められる人になります。
世帯主だからといって何か特別な権限があるというわけではありませんが、世帯主が決まらないと住民票の発行はできません。新たに住所の届出をする時に定めていただきます。
なお、混同しやすいものに「筆頭者」という言葉がありますが、これは一つの戸籍の中で最初に記載されている人のことです。
※引用(太字強調は引用者による):埼玉県川口市HP「世帯主とはなんですか?」(※最終閲覧:2019年12月7日)https://www.city.kawaguchi.lg.jp/faq/kurasi/juminhyo/17457.html
本籍と筆頭者の氏名
本籍
夫婦それぞれの、結婚以前の本籍を記入します。本籍地が住所登録地と異なる場合は調べる必要があります。
筆頭者の氏名
筆頭者は、戸籍の一番初めに記載されている人です。
●筆頭者とは?
子は出生後、父または母が筆頭者となっている戸籍に入りますので、一般的に、一度も婚姻したことがない人の筆頭者は父または母です。
(養子縁組届・分籍届等の戸籍の届出をした場合は、別の人が筆頭者となっていることがあります。)
なお、筆頭者が亡くなられたとしても、筆頭者はずっと変わりません。
※引用(太字強調は引用者による):周南市HP「本籍や戸籍の筆頭者がわからないのですが、調べる方法はありますか?」(※最終閲覧:2019年12月7日)https://www.city.shunan.lg.jp/soshiki/20/2630.html
本籍と筆頭者の調べ方
本籍や筆頭者が分からない場合は、親族の方に確認してもらいましょう。
本籍と筆頭者は、本籍地の入った住民票で確認することができます(※対応の可否は市町村によって異なります)。
さらに、マイナンバーカードを利用して、本籍地の戸籍の証明書をコンビニ交付することも可能です。
※画像引用:総務省HP「コンビニ交付」(※最終閲覧:2019年12月7日)http://www.soumu.go.jp/kojinbango_card/04.html
父母の氏名
左側が夫になる人の記入欄、右側が妻になる人の記入欄です。それぞれ、実の両親の氏名を記入します。
両親が離婚している場合、一方は旧姓を記入します(※たとえば、離婚して母が旧姓に戻っていたら、母は旧姓で記入します)。
養父母の場合、ここには記入せず、「その他」欄に記入します(※後述)。
続柄(つづきがら)
続柄は、長男・長女は「長」、次男・次女は漢数字で「二」と記入します。三男・三女以降も漢数字で記入します。
結婚後の夫婦の氏・新しい本籍
結婚後に夫婦どちらの氏(※姓)を名乗ることにするかを決めます。「夫の氏」と「妻の氏」のどちらか一方にチェックを入れます。
婚姻届を提出することで、夫婦それぞれ、結婚以前の戸籍から離れ、二人の新しい戸籍が作られることになります(※二人とも初婚の場合)。
新本籍
新しい戸籍を置く住所を記入します。新本籍は国内の好きな場所を選ぶことができますが(※例外あり)、一般的には、新居の住所か、夫または妻の実家の住所にします。
夫あるいは妻が、すでに戸籍の筆頭者となっている場合は、本籍は記入せずに空欄のままにします。
同居を始めたとき
挙式した日、または同居を始めたときのうち、早いほうを記入します。
初婚・再婚の別
初婚か再婚か、夫婦それぞれ記入します。再婚の場合、死別・離別の日付も記入します。
同居を始める前の夫婦のそれぞれの世帯のおもな仕事と、夫妻の職業
夫婦それぞれの主な仕事に関して記入します。
- 農業だけ又は農業とその他の仕事を持っている世帯
- 自由業・商工業・サービス業等を個人で経営している世帯
- 企業・個人商店等(官公庁は除く)の常用勤労者世帯で勤め先の従業者数が1人から99人までの世帯)
- 3にあてはまらない常用勤労者世帯及び会社団体の役員の世帯
- 1から4にあてはまらないその他の仕事をしている者のいる世帯
- 仕事をしている者のいない世帯
→ 農業収入が中心の人
→ 自営業の人
→ 従業員数100人未満の企業勤務の人
→ 従業員数100人以上の企業勤務(※1年以上)の人・公務員・役員
→ 1~4に該当しない人・契約期間が1年未満の会社員
→ 無職の人
※世帯とは、主に「住居及び生計を共にする者の集まり」(※引用:厚生労働省 「用語の解説」)を言います。
●夫婦がすでに同居している場合
夫婦それぞれ該当する数字のところにチェックを入れます。
●夫婦がまだ同居していない場合
夫婦が同居していない場合、それぞれの世帯主(※家庭の中で収入が最も多い人)の仕事に該当する数字のところにチェックを入れます。
たとえば、父親が世帯主の場合は、父親の仕事を元にチェックを入れます。
夫妻の職業
「夫妻の職業」欄は、婚姻届を、国勢調査が実施される年の4月1日から翌3月31日までに提出するときのみ記入します。国勢調査が行われない年度は記入せず、空欄のままで構いません。
●国勢調査とは?
国勢調査は、日本に住んでいるすべての人と世帯を対象とする国の最も重要な統計調査で、5年ごとに実施されます。国勢調査から得られる日本の人口や世帯の実態は、国や地方公共団体の行政において利用されることはもとより、民間企業や研究機関でも広く利用され、そのような利用を通じて国民生活に役立てられています。
国勢調査では、年齢別の人口、家族構成、働いている人や日本に住んでいる外国人などの結果を提供しています。
※引用(太字強調は引用者による):e-Stat 統計で見る日本「国勢調査」(※最終閲覧:2019年12月7日)https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00200521
2015年に第20回調査が実施されました。その後も、2020年、2025年……というように、5年ごとに実施される見込みです。
国勢調査の実施年度に届け出をする場合、その年の国勢調査に使われる「職業分類」や、総務省の「日本標準職業分類」を参考に記入します。
その他
下記に当てはまらない場合は、記入しなくて大丈夫です。
-
「その他」欄への記入が必要な場合
- 両親が養父母の場合
- 夫婦が未成年の場合
- 名字を旧字体から新字体に変更する場合
両親が養父母の場合
養父母の氏名を記入します。
夫婦が未成年の場合
未成年者の結婚には、両親の同意が必要です。下記の内容を記入してもらいます。
・婚姻に同意する旨
・両親のフルネームのサイン
・両親の捺印
名字を旧字体から新字体に変更する場合
婚姻届の提出と同時に、氏の字体を旧字体から新字体に変更することができます。
届出人の署名押印(※印鑑が必要)
署名は旧姓で記入します。押印も旧姓の印鑑を使用します。
証人
婚姻届の証人となる人、2人に自筆で記入してもらいます。証人は成人に限ります。
証人の押印は、それぞれ別の印鑑を使います。両親や兄弟にお願いする時は注意が必要です。
連絡先(※電話番号)
日中連絡が取れる電話番号を記入します。
婚姻届を書くときの注意点
ミスした時の訂正方法
記入を間違えた場合は、二重線で取り消し、欄外に旧姓の印鑑で押印します。
修正液や修正テープは使えません。
捨印
捨印(すていん)とは、書類の欄外にハンコを押して、「軽い間違いがあれば修正して頂いて大丈夫です」という意思を示すことです。提出した婚姻届にミスがあっても、役所で修正してもらえます。
旧姓の印鑑で、夫婦それぞれ捺印しておきましょう。
●捨印とは?
本来印鑑を押すところとは別に、上や横の余白に同じ印鑑を押すのが「捨印」で、これは「あらかじめこの書類を訂正することを認めますよ」という意味で使われています。何度も何度も訂正印をもらうのは面倒だよね、という場合に使われることが多いです。
※引用:LM総合法律事務所「意外と知らない『印鑑』のこと(弁護士 網野雅広)」(※最終閲覧:2019年12月8日)http://www.lmslaw.jp/15496919510801
※婚姻届画像参考:大阪市天正区HP(※最終閲覧:2019年12月8日)https://www.city.osaka.lg.jp/taisho/page/0000461942.html
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